YSLO 横浜綜合法律事務所
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2010年7月アーカイブ

A 後遺障害とは、治療を受けているにもかかわらず完治せず、その改善効果が見込めない状態で固定した障害をいいます。そして、後遺障害による逸失利益は、その後遺障害が被害者の労働能力にどのように影響し、また、それが将来どの程度持続するかを予測して、これが被害者の将来の収入にどの程度影響をもたらすかということを金銭的に算定するものです。そのため、不確定な要素が多分に含まれるので、裁判などにおいても頻繁に問題となりますが、一般的には、後遺障害による逸失は、次のような算式により算定されます。
=「被害者の基礎収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数あるいはホフマン係数」
 なお、ライプニッツ係数あるいはホフマン係数とは、将来の収入を一時金で受け取るために、途中で発生する利息を差し引くための係数のことをいいます。

A 通常、受傷前の収入額と後遺障害残存後の収入額において減収がない場合には逸失利益は認められないとも思われますが、裁判例では、たとえ減収がない場合であっても昇進・昇給等における不利益があったこと、後遺障害により業務に支障が生じていること、将来の退職・転勤の可能性が認められること、さらに業務上の支障をカバーするために努力をしているなど本人の努力により減収を免れていることなどを考慮して、逸失利益を認めているものもあります。
 したがって、減収がない場合にも具体的事情によっては逸失利益が認められる場合があります。

A 労働能力の低下の程度については、一般的な基準として労働省労働基準局長通牒別表労働能力喪失率表が利用されます。しかし、後遺障害は多種多様であり、またその影響は被害者の年齢・性別・職業などによって異なります。たとえば、事故により手の指を1本失った場合、ピアニストや大工さんなら大変な労働能力を失いますが、事務系の会社員ならさほど支障が生じない場合もあります。
 そこで、労働能力喪失率は、被害者の職業、年齢、性別、後遺障害の部位、程度、事故前後の稼働状況等を総合的に判断して具体的に評価されます。

A 労働能力喪失期間の始期は症状固定日とされ、その終期は原則として67歳までとされます。
 この点、裁判例は、後遺障害のうち重篤なものについては、原則として就労可能年数いっぱいまで認める傾向にありますが、たとえば軽度の神経症状のように後遺障害といっても相当期間後には回復することが予想できるものや、軽度の障害で本人の慣れなどにより労働能力ひいては収入に対する影響が軽減していく場合においては、年数を制限する傾向にあります。
 したがって、労働能力喪失期間は、被害者の職種、地位、健康状態、能力等を考慮して具体的に判断がされる場合があります。

A 契約交渉段階において、相手方企業に対して、御社の知的財産権や営業秘密その他の企業秘密を開示する必要があるということですね。同じようなことは、共同研究開発契約、ライセンス契約、合弁契約、M&A契約等を締結する場合にも生じます。そのような場合は、本契約に入る前の早い段階で、相手方と秘密保持契約を締結することが必要です。

A 1990年に改正された不正競争防止法で「営業秘密」が定義されています。それによると、(1)秘密として管理されていて、(2)事業活動に有用な情報であり、(3)公然と知られていない、生産方法、販売方法その他の技術上または営業上の情報が、「営業秘密」にあたります。

A いいえ、具体的には、情報にアクセスできる者を特定することと、情報にアクセスしたものが、それが秘密だと認識できること、つまりきちんとした情報管理体制が求められています。いくら書類に「秘密情報」というゴム印を押していても、誰もが開けられる事務所内の戸棚に保存していた場合は、「営業秘密」とは認められない場合があるんですよ。

A 不正競争防止法で保護されるためには、それが「営業秘密」と認められるほかに、相手の行為が「不正競争」にあたると認められることが必要です。不正に取得したことや、正当に取得してもその後で不正の利益を得る目的または御社に損害を加える目的で使用、開示したことを証明しなければなりません。また、「営業秘密」の定義からは外れるような、財務・資産情報、人事・労務情報、裁判情報、ネガティブな情報等も、不正競争防止法では保護されません。競業他社のことを考えると、特定の企業と技術供与契約締結の検討をしたという事実さえも、公けになっては困るのではないでしょうか。

A ご指摘の通り、契約による法的拘束力が及ぶのは契約当事者に限られます。したがって、秘密保持契約に、それぞれの従業員や外注業者に対し、その契約上の義務と同等の秘密保持義務を負わせる条項を入れる必要があります。また、従業員が、在職中にも、退職後にも、秘密の漏えいをしないよう、就業規則に秘密保持義務を規定したり、誓約書を書かせたりする必要があります。それらの文言に具体性がないと、効力が否定される場合がありますから注意してください。