A 契約交渉段階において、相手方企業に対して、御社の知的財産権や営業秘密その他の企業秘密を開示する必要があるということですね。同じようなことは、共同研究開発契約、ライセンス契約、合弁契約、M&A契約等を締結する場合にも生じます。そのような場合は、本契約に入る前の早い段階で、相手方と秘密保持契約を締結することが必要です。
企業法務Q&A
A 1990年に改正された不正競争防止法で「営業秘密」が定義されています。それによると、(1)秘密として管理されていて、(2)事業活動に有用な情報であり、(3)公然と知られていない、生産方法、販売方法その他の技術上または営業上の情報が、「営業秘密」にあたります。
A いいえ、具体的には、情報にアクセスできる者を特定することと、情報にアクセスしたものが、それが秘密だと認識できること、つまりきちんとした情報管理体制が求められています。いくら書類に「秘密情報」というゴム印を押していても、誰もが開けられる事務所内の戸棚に保存していた場合は、「営業秘密」とは認められない場合があるんですよ。
A 不正競争防止法で保護されるためには、それが「営業秘密」と認められるほかに、相手の行為が「不正競争」にあたると認められることが必要です。不正に取得したことや、正当に取得してもその後で不正の利益を得る目的または御社に損害を加える目的で使用、開示したことを証明しなければなりません。また、「営業秘密」の定義からは外れるような、財務・資産情報、人事・労務情報、裁判情報、ネガティブな情報等も、不正競争防止法では保護されません。競業他社のことを考えると、特定の企業と技術供与契約締結の検討をしたという事実さえも、公けになっては困るのではないでしょうか。
Q そのために、秘密保持契約で相手を拘束することが必要なのですね。しかし、企業間で契約を締結しても、実際に秘密情報を扱うのは従業員です。その従業員が相手企業を退職して当社の情報を利用しないでしょうか?
A ご指摘の通り、契約による法的拘束力が及ぶのは契約当事者に限られます。したがって、秘密保持契約に、それぞれの従業員や外注業者に対し、その契約上の義務と同等の秘密保持義務を負わせる条項を入れる必要があります。また、従業員が、在職中にも、退職後にも、秘密の漏えいをしないよう、就業規則に秘密保持義務を規定したり、誓約書を書かせたりする必要があります。それらの文言に具体性がないと、効力が否定される場合がありますから注意してください。



