横浜綜合法律事務所 コラム

仰げば尊し

先日高校のクラス会が開催された。クラスメイトは、それなりに年齢を重ねていたが、話し始めると時間が瞬時に高校生当時に遡ってしまうのが不思議である。このクラス会で私が最も嬉しかったのは、担任のY先生と久しぶりにお会い出来たことである。

高校生の私は決して優等生ではなかった。ラグビーをするために通学していた様なもので、遅刻の常習犯。授業はサボるし、興味ある科目しか勉強しなかったので、成績は乱高下。斜に構えているところがあり、とても扱いにくい生徒であったと思う。そんな私をY先生は気にかけてくれてはいたが、特段注意することなく、「お前は大器晩成だから」といって自由にさせてくれていた。今となれば、それは忍耐のいることだと容易に理解できる。二十歳になり高校生活の不徳を反省し、十年間は将来の自分のために投資をしようと決心して勉強を始め、その後司法試験を受けることになったが、当時の司法試験は合格率数パーセントの超難関。この受験勉強は本当に辛かったが、心が折れそうになったとき、ふとY先生の「お前は大器晩成だから」という言葉を思い出した。高校時代、私を信頼し自由奔放な学生生活を許してくれた先生の信頼に応えたい、そんな気持ちが受験生活を支える一助となっていた。

二十歳のとき同窓会でお会いして以来、Y先生とは35年振りである。先生に、現在弁護士であること、数年前に横浜国大のロースクールで教鞭を取っていたこと、司法研修所の民事弁護教官として後進の指導をしていたこと、今は法務省から委嘱され公務に携わっていることなどを報告し、型に嵌めようとせずに見守ってくれていた先生の度量に感謝の気持ちを直接伝えることが出来た。

高校生の当時はなんて恥ずかしい歌であると思っていたが、今は素直に唱えることが出来る。「仰げば尊し、わが師の恩」である。

8月 31, 2020

夜な夜な励んでいること

高校生の頃、通学時にローファーを履いていました。革の表面が剥げたり靴底が剥がれたりしても気にしていませんでしたし、ぼろぼろになった方が格好良いとも思っていました。手入れといえば、たまに靴墨を塗って古くなったTシャツでこする程度。
最近は革靴の手入れの仕方を学び、夜な夜な靴磨きに励んでいます。馬毛ブラシで埃を落とす、クリーナーで汚れを落とす、クリームを塗って栄養を与える、豚毛ブラシで余分なクリームを落としながら革の奥底までクリームを浸透させる、綺麗な布で乾拭きをした後、セーム革でさらに乾拭きをするという手の込んだものです。本当はこの後につま先と踵にワックスを塗って鏡面のように光らせたいところですが、ワックスを塗れば塗るほど曇っていくのでまだまだ精進が必要です。
難しいのは、クリームをただ塗れば良いというわけではないところ。埃や古くなったクリームを落として革をいったんスッピンの状態にした上で、少量のクリームを馴染ませていく。ブラシ、乾いた布、セーム革で丁寧に磨いていくと、徐々に光り出します。三足を同時並行で磨いていき、かかる時間は約1時間。暑い日には靴を磨きながら汗が滴り落ちてきますが、徐々に光り出す靴を眺めるのはなんともまあよいものです。靴に愛着も湧きます。目の前で変化していく様子に集中しながら磨いていると頭もすっきりするので、気分転換にもなります。
とはいえ、新聞紙を広げて革靴を並べ、その周りにクリーナーやクリームにワックス、クリームの色ごとのブラシを置いていくと、リビングを占拠することになってしまうので、肩身が狭いところです。そんなときは妻のパンプスも磨いてあげることで、我が家では靴磨きが市民権を得ています。

8月 14, 2020

追越しと追抜き

追越しと追抜きの違いを意外と誤解をされている方が多いように思われるので、今回、取り上げてみることにしました。

『追越し』と「追抜き」の違いを理解するためには、『追越し』を正確に理解した上で、『追越し』にあたらない場合が『追抜き』にあたると理解して頂ければ間違いないと思います。

道路交通法では、『追越し』とは、「①車両が他の車両等に追い付いた場合において、②その進路を変えてその追い付いた車両等の③側方を通過し、かつ、④当該車両等の前方に出ることをいう」と定義されています。
まず、追越しにあたるためには、①「追い付いた場合」に該当する必要がありますので、前の車との間に相当な距離がある場合に進路を変更したとしても、追越しにはあたらないことになります。
また、②「進路を変えて」とされていますので、第2車線を走行していた車が進路を変えずに第1車線の車を追抜く行為は、追越しにあたりません。また、ここでいう、「進路」は、前の車と同一の進路を走行していることが前提となっていますので、第2車線から第3車線に進路を変えて、第1車線の車を追い抜く行為は、進路が重なっていませんので、追越しにはあたらないことになります。

次に、上記①と②の要件に該当したとしても、前の車と一定の距離を並走した後、前方に出た場合には、③「通過」に該当しませんので、この場合も追越しにあたらないことになります。

最後に、④「前方に出る」とは、第1車線を走行している車を第2車線から追い越してから第1車線に戻る場合だけではなく、そのまま第2車線を走行していく場合も含まれます。この点について、前の車両の進路に戻らなければ、追越しにあたらないと誤解をされている方は多いのではないでしょうか。

『追越し』の説明は以上のとおりとなりますが、いかがでしょうか。誤解をされている方がいらっしゃるようでしたら、今一度、整理をして頂ければと思います。

7月 31, 2020

恋文の公開

先日、日本経済新聞に、作家遠藤周作が恋人に宛てて書いた手紙が見つかったとの記事が掲載されていた。しばらく前にも、川端康成や谷崎潤一郎の同じような記事を見たことがある。著名な作家になると、最もプライベートな恋文までが研究対象となり、そして、一般に公開されてしまう。当の本人たちは、これをどう思うのか。こんなことなら、もう少し考えて書けばよかったと考えるのではないだろうか・・。ただ、羞恥心を感じるのではないかと思うのは一般人的感覚で、偉大な作家は、小説などの作品自体が自身の魂の暴露であるから、恋文が公開されようと特段なにも思わないのかもしれない。

また、マリリン・モンローの2番目の夫であるジョー・ジマジオがモンローに宛てて書いたラブレターが競売により1000万円で落札された、との記事も見たことがあるが、これを本人たちがどう思うのかも別の意味で興味深いところである。

これらを法的に考えてみると、「プライバシー侵害」というのが頭に浮かぶが、著名人であるということを除いても、そもそも死者のプライバシーは認められるのかという問題もある。また、個人情報保護法の保護対象は「生存する個人」に関する情報であるため、保護される個人情報にはあたらない。ということは、自分が生きている間に自分で始末しておく必要があるということである。忘れてなければ、だが。

一般人にとってはラブレターが公開されるなどというのはいらぬ心配だが、最近では、メールやラインの内容が裁判の証拠となることはよくあることであり、国会でも話題である。メールやラインは手軽であるため、そう深く考えもせずにやり取りがなされ、そして残ってしまう。後悔しても後の祭りである。ただ、よくよく練って作成した手紙の方が、後々見ると、赤面するかもしれないので、どちらがいいとも言えないが・・・。また、リベンジポルノなど深刻な事態も問題になっている。
いずれにしても、自己の情報の管理には細心の注意が必要である。

7月 17, 2020

身近な自然の価値

神奈川県弁護士会では、定期的に「専門実務研究」という論文集を発行しているが、平成29年4月に発行された号に、私の所属する環境問題委員会の有志が執筆した「神奈川の林地・緑地保全と開発」という論文が掲載された。
論文では、神奈川県内の林地の価値と、それを保全するための規制と手段、その限界などについて、実際の事例をもとに検討しているが、箱根・丹沢の原生林とは別に、都市またはその近郊の緑地として重要なのが「里山」である。
里山とは、都市の近くにある雑木林を指すが、最近は、周りの水田や畑、水路や小川、採草地なども含んだ、農村的な環境全体を指して使われる。原生の自然と異なり、枝打ちなど、人の手による管理がなされることで維持されるため、「二次的自然」などと呼ばれている。
里山は、かつては、食糧や燃料、木材などの資源を得るために人々が手を入れてきたが、現代では、管理の担い手が減り、里山全体が荒廃しつつある。
そのため、生物多様性の保全や、水や大気の浄化、人をリフレッシュする機能、子供の環境教育の場など、現代的機能を認識して、開発を規制するだけでなく、維持・管理を続ける方法を考える必要がある。
ところで、神奈川県や横浜市は、早くから里山保全に積極的に取り組んでおり、意外と身近なところに「県民の森」や「市民の森」に指定された里山があるので、休日の午後にでも、おつまみと缶ビール持参で、ご近所の里山でリフレッシュしてはいかがだろうか。

7月 3, 2020

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