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横浜綜合法律事務所 アーカイブ

プライベートキャンプ場と農地法

コロナ禍においてキャンプがブームになっていますが、私も、本格的にキャンプデビューしました。
静かな山や海で街頭の灯りから離れて過ごす時間は、心休まる良いものですが、ブームの影響で首都圏から行きやすいキャンプ場はどこも予約客で一杯、人混みから離れたつもりが実はかなり密状態ということが少なくありません。
どこか人知れずキャンプができる場所はないかな…と思っていたところ、ひょんなことから農地の端をキャンプの場所として貸してくれるという話が舞い込みました。
ついに誰にも邪魔されずにキャンプができる場所を手に入れたかと思いきや、そこで立ち塞がったのが「農地法」でした。
農地法では、農地の貸し借りは、原則として農業委員会の許可を得なければならないとされています。農地は国民の生活上、限られた資源であることから、その効率的な利用と確保を目的として、基本的に非農業従事者に農地を貸すことは認められておらず、個人が農業委員会の許可を得るためには、農作業に常時従事する(年間150日以上)ことが一つの条件とされています。
リモートワークをフル活用しての弁護士業と農業の掛け持ち…さすがに非現実的ですかね。

2022年7月15日

求・ドライブレコーダー

F1観戦が密かなマイブームです。
F1では車両同士の接触がしょっちゅう起き、双方のレーサーが無線で接触に対して文句を言い合うなんて場面がよくあります(中継では、レーサー・チーム間の無線が流れます。)。
わざとぶつかることはないにせよ、早く走行しようと無理な追い越しやライン塞ぎが横行しては、安全かつスリルのあるレースが守られません。
そこでF1では、車両同士の衝突について違反が疑われる場合、レース中に審査員がどちらの車両に非があったのか判断し、違反車両にペナルティを与えます。
この審査員の判断は、まさに弁護士が普段扱っている交通事故案件と共通するものですが、大きく異なるのが判断材料の多さです。審査員は、衝突当事車両を含む全車両に搭載されるカメラ映像、上空からの中継映像を検証し、責任の所在をジャッジします。一方で弁護士が扱う事例では複数角度からの映像が残っていることはほとんどなく、多くは車両に残った傷、警察により作成された書面などから事故態様を確定させることに労力を割くことになります。
F1審査員の仕事を見ながら、一般車両の事故にもF1並みのドライブレコーダーが搭載されていればいいのになあと思う今日この頃です。

2021年7月9日

楠瀬 健太「ペットの治療費」

昨年末のこと、家で飼っている犬(ウェルシュ・コーギー/13歳♂)が体調を崩してしまいました。
いつもは散歩に行く素振りを見せれば家を走り回るのですが、一向に寝床から起き上がらず、餌も全く口にしなくなってしまいました。
家族だけでは騒ぐばかりで何も解決できず、近所の動物病院に連れて行くことになり、一日がかりで栄養補給のための点滴を打ってもらい安静にさせるという毎日を送りました。
結局、数週間経つとケロッと餌を食べ始め、いつものように走り回るようになったのですが、両親から治療にかかった金額を聞き驚愕しました。なんと数十万円です。
かけがえのない我が家の一員、お金の話をするのはどうかと思いますが、彼の購入価格の約5倍の金額でした。
前置きが長くなってしまいましたが、そんなこともあり、今回のコラムは、「ペットの治療費」が法律上どのように扱われているのかというテーマで書きたいと思います。
たとえば、ペットが自動車に轢かれてしまい、治療費がかかったと場合、その際に飼い主は、車の運転手に対して、治療費全額を請求できるのでしょうか。
まず、前提として、日本の法律上、動物は「物」として扱われます。
そして、物の損害賠償においては、その物の時価を超えて損害賠償をする必要はないというのが日本における原則です。
したがって、うちの犬のように治療費に数十万かかった場合、日本においてはよほど高価な犬でないかぎり、治療費全額の請求をすることはできないということになってしまうのです。
ペットを家族同然に感じている人からすれば、全く納得のいく結論ではないですが残念ながら日本の法律ではこのような結論になってしまいます。
では、ペットの先進国であるヨーロッパではどのような扱いがなされているのでしょうか。
動物福祉の先進国と言われているドイツでは、そもそも動物は「物ではない」と法律に明記されています。
また、動物の治療費についても特別な規定があり、動物の時価を超えて治療費が発生したとしても、高額であるため不必要ということにはならないとされているのです。
したがって、ドイツでペットが交通事故に遭った場合には、時価を超える治療費全額を請求できる可能性があることになります。
近年は、民間ではペット保険などペットを特別なものとする扱いが広がってはいるものの、上の例にも表れるようにペット先進国との間では未だ法律や考え方に差があるといわざるを得ない状況です。
ペットを愛する者として、日本でもペットに関する制度や法律が整備されることを願うばかりです。

2018年3月29日

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