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横浜綜合法律事務所 アーカイブ

特殊詐欺の被害回復と特殊詐欺に関わらないために

振込め詐欺による被害を受けた高齢者が詐欺に関わった暴力団組員や組長を相手にした損害賠償請求事件訴訟について、一昨年から弁護団として取り組んでいた。その訴訟が昨年10月に和解で解決した。相手方らが被害額を含む解決金を支払う、という和解であった。これにより被害に遭った高齢者の被害回復ができ、また、暴力団組織も今後、割の合わない特殊詐欺に関わらなくなっていくことが期待される。

それでも、特殊詐欺が未だになくならない。コロナ禍による休業等による収入減により、生活の維持や借金返済のために、若年者が、SNSを通じて、安易に高額な報酬を出すアルバイトに応募してしまうケースがある。例えば、債権回収のアルバイトである。債務者から債権回収(現金を回収)して、回収してきた金額の数%を支払うといったアルバイトである。そのアルバイトは実際のところ特殊詐欺の受け子の仕事なのであるが、巧妙な雇用主は、特殊詐欺の受け子の仕事であることを秘して、無知な若年者を巧妙に勧誘して、現金を回収してくるという仕事をさせるのである。バイトとして受け子をしていた若年者は警察に逮捕されるが、詐欺だとは知らなかったと主張しても、それを証明するのは結構大変である。そのようなアルバイトは怪しいと思わなかったのかと警察当局から追及され、それに対し、怪しいアルバイトとは思わなかったと主張しても、なかなか警察当局は許してくれない。起訴までされてしまい、長期間の勾留がされてしまう可能性がある。

このように、世の中、割のいいアルバイトというのは滅多にない。割のいいアルバイトというのは実は犯罪なのではないかを注意しなければならない。アルバイトの危険性は、周りの大人はもちろん、公共機関が若年者のよく見るSNSを使って、もっと広報を周知徹底してもよいと思う。そのことが特殊詐欺の撲滅にも役立つものと思われる。

2022年7月1日

渡部 英明「刑事司法改革関連法について」

平成28年5月24日、衆議院本会議で「刑事訴訟法等の一部を改正する法律」(いわゆる刑事司法改革関連法)が可決、成立した。刑事司法改革関連法では、これまで密室で行われていた警察・検察の取調べのうち、裁判員裁判対象事件や検察の独自捜査事件で逮捕・勾留中の被疑者に限り、被疑者の同意があった場合には録音・録画(可視化)することが可能になった。今回の法改正は取調べの可視化の一部に限られたが、取調べが任意に行われたのか否かを検証するために、取調べ状況を録音・録画することになり、これにより冤罪の防止につながると期待されている。
ただ、暴力団等の組織犯罪について、取調べを録音・録画されるのであれば、一切しゃべらないという被疑者も現れることが予想され、事案の真相解明という刑事訴訟法の目的からすると、犯罪の特殊性を考慮せずに一律に取調べを可視化するという手法が合理的なのか否かは今後の課題といえる。
また、通信傍受の対象犯罪が薬物や銃器犯罪等に限られていたものを複数犯による殺人、傷害、逮捕・監禁、窃盗・強盗、詐欺・恐喝、児童ポルノ等にまで拡大して、組織犯罪の解明ができるようにした。
さらに、司法取引も導入された。この手法について、実務において、今後、どのような影響を与えるのかは未知数であるが、他人の犯罪事実を明らかにするための供述をすることで不起訴や特定の求刑をすることの取引をすることによって冤罪事件が起きる可能性があると指摘する意見もあり刑事弁護において、新たな事案が増えてくるのではないかと危惧している。
今回の改正は、組織犯罪の解明に際し、通信傍受や司法取引等捜査機関にその手段を与える一方、被疑者の権利擁護のため取調べの可視化も一部認めることにより、バランスを図った法案のようである。
この刑事司法関連法案は様々な論点で様々な所で賛成・反対の意見表明が出されて成立したものなので、成立後もその運用に際し、弊害がないかチェックしていくことが肝要である。

2016年9月12日

渡部 英明「横浜弁護士会副会長を終えて」

平成25年4月から横浜弁護士会副会長に就任し、平成26年3月で1年間の横浜弁護士会副会長としての会務活動を終えました。
副会長は、毎週1回開催される理事者会への出席のほか、弁護士会内外の各種会議の出席・挨拶、弁護士会内部の各種決裁等、様々な会務活動をしております。
理事者のときは、弁護士会を取り巻く問題状況の全体を見渡すことができ、一個人としての弁護士の業務が、とても限られていたことがよく分かりました。
今回、横浜弁護士会の副会長として人権擁護活動はもちろんのこと、弁護士会のIT化の促進や若手弁護士の支援、法曹養成等弁護士会内の仕事に携わってきました。
また、理事者としての会務を通じて,他士業の方々とも接する機会が増えました。他士業の方々との連携が弁護士の提供するリーガルサービスをより充実させることができるものと実感しました。
今後は、務を通じて得た経験を生かし、依頼者の皆様へのよりよいリーガルサービスの提供に努めたいと思います。

2014年8月22日

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