横浜綜合法律事務所 コラム

予防法務

ここ最近、企業法務の一環として、「予防法務」に力を入れています。
企業が日常的に行っている取引のうち、トラブルになるケースは頻繫にあるものではないでしょう。しかし、50件の取引のうち1件でトラブルが生じ、契約書を整備していなかった、若しくは、不利な内容の契約書や覚書を取り交わしていたために、予期せぬ大きな損害を被るということもあるかと思います。注意を払わずに相手方に送ったメールや、相手方から求められるままにサインした文書によって、後に不利な状況に追い込まれることもあります。
そのような自体を回避するためには、契約書のリーガルチェックが重要であることはもちろん、取引の前後を問わず、外に発する文書には注意を払う必要がありますし、本格的に紛争になりかねない場面では、相手方の出方に応じた対応策を事前に練っておくことも大切です。
依頼者が企業である場合は、企業の担当者と蜜に連携を取ることで、紛争そのものを生じさせにくくする、また、紛争が生じたとしても被る損害を最小限に抑えることを目指しています。契約書のリーガルチェックに留まらず、紛争予防のためのトータルサポートに力を注いでいます。

2021年9月3日

Jリーグジャッジリプレイ

Jリーグジャッジリプレイという番組をご存じでしょうか。サッカーに興味が無い方には馴染みがないかと思いますが、週末に行われたJリーグの試合の中で審判のジャッジが問題となったシーンについて、翌週の月曜日に、審判委員会の方を交えて議論をするというものになります。
私自身は、小学校からサッカーをやっていますので、それなりにサッカーのルールには詳しいつもりでいましたが、この番組で、改めて、ルールの解説を聞いたりすると、意外とルールを間違って理解していたり、ルールが改正されていたりすることもあって、興味深く見させてもらっています。
贔屓のチームに不利なジャッジがされた時には、その審判に腹を立てたりするのですが、この番組の解説を聞いてみると、実は、ナイスジャッジで、私の非難は的外れだったということも多々あります。
ルールの正確な理解を欠いたことによる的外れな非難ということは、サッカーに限らず、日常生活でもあるのではないでしょうか。
自分自身の仕事の上でも、早計に結論をだすのではなく、一度、ルール(法律)の理解に欠けるところはないのか、自らに問いかける姿勢を持ち続けようと改めて感じる次第です。

2021年8月20日

家族が増えました

妻とご縁のあった方が亡くなり、その方の飼っていた猫を二匹引き取ることになった。
名前は、「コタロウ」と「ぼうろ」という。初日は部屋の隅に隠れて出てこなかったが、もともと人には慣れていて、3日もしないうちに、こちらの足にすり寄ってくるようになった。二匹は兄弟で、見た目もそっくりなのだが、性格はまるで違う。
食い意地が張っていて常に人間の食卓を狙ってくるのがぼうろで、人の食事より水槽の中の金魚を狙うのがコタロウ、トイレで自分のウンチを隠さないのがぼうろで、自分のウンチはしっかり隠して、ぼうろが隠さなかったウンチにまで砂をかけて隠すのがコタロウだ。
そして二匹ともよく毛が抜ける。前にも猫を飼っていたことはあり、毛が抜けることは分かっていたものの、品種にもよるのか、改めてこの二匹はよく毛が抜ける気がする。掃除機をかけた直後でも、もうフワッとしたかたまりが落ちている。歩くとすぐに毛だらけになるので、家の中で靴下を履くことは無くなってしまった。すべての毛を取るのは不可能なので、今後は私の服に猫の毛がついていても大目に見て頂きたい。
最初は丸まって寝ていた猫たちも、季節が暖かくなるにつれ、体を伸ばして寝るようになった。窓際で日光浴をしながら二匹並んで眠ている姿を見るだけで、こちらも幸せな気分になってしまうのが猫の不思議な魅力だ。

2021年8月6日

心に残る事件「試合開始まであと3時間」

弁護士登録をしてから25年が過ぎた。今まで手がけた事件の中に、記憶に残る事件は数多くあるが、最もしんどかった事件といえば、あの事件である事は間違いない。

私は、当時とあるプロスポーツチームの契約書のチェックなどをボランティアでしていた。このチームはサポーターがチームを支えており、その心意気に共鳴したからだ。そしてチームも翌年1部リーグに昇格することがほぼ決定した。ところがある日、当時の社長から、とてもボランティアではお願いできない事態が発生いたしましたとの申し入れがあった。紛争の内容はとても複雑でこの場で説明できるものではないが、簡単に言うと、このチームの運営会社は三人がほぼ等分で株式を所有しており、そのうちの一人が代表取締役となっているが、他の二人が代表取締役を解任し新たなる経営体制に移行したいと要請してきたのである。しかし、この二人は、その時会社の経営には関与しておらず、当時の代表取締役以下会社の従業員はこれに猛反発し、もしそんなことになったらみんな会社を辞めると結束していた。代表取締役が二人の要請を拒否すると、株主総会の開催を要請してきた。これも拒否すると、株主による株主総会開催の請求手続を行ってきた。そこで、これに対抗するため、敵対的増資の手続を取り始めたところ、相手方はネット上で、会社がチームをどこかに売ろうとしているという噂を流した。

このままでは昇格できなくなってしまう可能性があると、みんなで必死に事態の収拾を模索した。そして、最終戦の前日、会社から、「株主三人が株を手放すことで合意した。明日の最終戦の前の午前10時に競技場で合意書の調印をするので、先生にも立ち会って欲しい」と連絡があった。この連絡を受けて私は心底ほっとした。そして、当日、最終戦の観戦を楽しみにして競技場に向かった。

ところが、話は違っていた。合意など何も出来ていなかった。相手方は二人とも株を譲る気などないという。法律的には、3分の2の株主の賛成があれば、取締役の選任、解任は自由であり、会社側の負けは確実である。さあ困ったなあと思っていたところ、試合開始までに何とか話をつけて欲しいと頼まれた。試合開始は午後1時。あと3時間しかない。交渉場所は、試合会場の本部。試合関係者等他の人がひっきりなしに出入りする。双方の関係者もたくさん成り行きを見守っている。衆人環視の中でこの絶望的な交渉か・・・と天を仰いだ。しかし、逃げるわけにはいかない。この日、私の中では午前10時に試合開始のホィッスルが鳴ったのである。

交渉の詳細をここに書くことはできないが、幾度となく怒号や泣き声が飛び交うタフな交渉だった。交渉が開始されてから2時間以上経過したときだったと思うが、このまま交渉が決裂したらどうなるかという話になった。私が相手方に「そうなったら、今日の交渉に至るまでの経過、今日の交渉でどんな話がされたかをマスメディアに公表するだけだ」と言った。もし、君たちがこのチームを奪い取り、それが法律的に許されるとしても、本当に社会がそれを許すのか、君たちがそれを受け止め、チームを責任持って運営する覚悟があるのか、その覚悟を問うたつもりであった。

結局、相手方は、株主三人が全ての株を無償で手放すことに同意した。この人たちは、社会から非難を受けてもなお、チームのオーナーとして責任を持って経営する覚悟があるのだろうか。交渉をしている中で、私がふと感じた疑問が、解決の突破口となったのである。数枚の合意書を作成し、全て調印が終わったのが12時45分。試合開始15分前であった。

今ではこの会社は株主構成も社員もほとんど入れ替わり、社内でこの事件の当時を知る者はほとんどいないと思う。記録には残っていないかもしれないが、私の中には頑張って会社とチームを守ったというひそかな満足感が残っている。

2021年7月26日

求・ドライブレコーダー

F1観戦が密かなマイブームです。
F1では車両同士の接触がしょっちゅう起き、双方のレーサーが無線で接触に対して文句を言い合うなんて場面がよくあります(中継では、レーサー・チーム間の無線が流れます。)。
わざとぶつかることはないにせよ、早く走行しようと無理な追い越しやライン塞ぎが横行しては、安全かつスリルのあるレースが守られません。
そこでF1では、車両同士の衝突について違反が疑われる場合、レース中に審査員がどちらの車両に非があったのか判断し、違反車両にペナルティを与えます。
この審査員の判断は、まさに弁護士が普段扱っている交通事故案件と共通するものですが、大きく異なるのが判断材料の多さです。審査員は、衝突当事車両を含む全車両に搭載されるカメラ映像、上空からの中継映像を検証し、責任の所在をジャッジします。一方で弁護士が扱う事例では複数角度からの映像が残っていることはほとんどなく、多くは車両に残った傷、警察により作成された書面などから事故態様を確定させることに労力を割くことになります。
F1審査員の仕事を見ながら、一般車両の事故にもF1並みのドライブレコーダーが搭載されていればいいのになあと思う今日この頃です。

2021年7月9日

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