横浜綜合法律事務所 コラム

特殊詐欺の被害回復と特殊詐欺に関わらないために

振込め詐欺による被害を受けた高齢者が詐欺に関わった暴力団組員や組長を相手にした損害賠償請求事件訴訟について、一昨年から弁護団として取り組んでいた。その訴訟が昨年10月に和解で解決した。相手方らが被害額を含む解決金を支払う、という和解であった。これにより被害に遭った高齢者の被害回復ができ、また、暴力団組織も今後、割の合わない特殊詐欺に関わらなくなっていくことが期待される。

それでも、特殊詐欺が未だになくならない。コロナ禍による休業等による収入減により、生活の維持や借金返済のために、若年者が、SNSを通じて、安易に高額な報酬を出すアルバイトに応募してしまうケースがある。例えば、債権回収のアルバイトである。債務者から債権回収(現金を回収)して、回収してきた金額の数%を支払うといったアルバイトである。そのアルバイトは実際のところ特殊詐欺の受け子の仕事なのであるが、巧妙な雇用主は、特殊詐欺の受け子の仕事であることを秘して、無知な若年者を巧妙に勧誘して、現金を回収してくるという仕事をさせるのである。バイトとして受け子をしていた若年者は警察に逮捕されるが、詐欺だとは知らなかったと主張しても、それを証明するのは結構大変である。そのようなアルバイトは怪しいと思わなかったのかと警察当局から追及され、それに対し、怪しいアルバイトとは思わなかったと主張しても、なかなか警察当局は許してくれない。起訴までされてしまい、長期間の勾留がされてしまう可能性がある。

このように、世の中、割のいいアルバイトというのは滅多にない。割のいいアルバイトというのは実は犯罪なのではないかを注意しなければならない。アルバイトの危険性は、周りの大人はもちろん、公共機関が若年者のよく見るSNSを使って、もっと広報を周知徹底してもよいと思う。そのことが特殊詐欺の撲滅にも役立つものと思われる。

2022年7月1日

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