横浜綜合法律事務所

交通事故「交通事故による後遺障害~高次脳機能障害~」

後遺障害とは、治療を継続してもこれ以上症状が改善する見込みがない状態になったときに身体に残った障害のことを言います。
交通事故による後遺障害の一つに、頭部外傷による脳損傷を原因とする「高次脳機能障害」というものがあります。「高次脳機能障害」には、例えば、以下のような特徴的な症状があると言われており、特に症状が重いケースでは、外見上は症状が回復しているように見えるにもかかわらず被害者の社会復帰が進まないということも珍しくありません。

【認知障害(知的障害)】
・物の置き場所を忘れたり、新しいことを覚えていられなくなる。
・注意したり集中したりできない。
・計画的な行動等ができない。
・自分が障害を持っていることを認識できない。

【情動障害(性格・人格変化)】
・すぐ他人に頼る、幼稚になる。
・過食や過剰動作など自己抑制がきかなくなる。
・すぐに感情が変わる。
・不機嫌・攻撃的な言動態度が増えたり、わがままになる。
・被害妄想がつよくなる、反社会的な行動をする。

「高次脳機能障害」は、急性期における合併外傷のために医師に見落とされたり、家族や被害者本人も症状の存在に気が付かなかったりなど、看過されやすい障害であることに加え、被害者によって症状が様々であったり、必ずしも障害の客観的な評価方法が確立しているとは言えないなどといった現状等から、交通事故と障害との因果関係や障害の程度等が裁判などで争われることが比較的多い後遺障害であると言えます。
この点、交通事故による頭部外傷の事案につき、現在の医療検査技術で脳の器質的損傷を示す異常所見が見当たらないからと言って、交通事故後の記憶障害、易怒性、意欲低下等の症状が脳の器質的損傷によることを否定することは相当でないとして、高次脳機能障害を認めた裁判例(大阪高判平21.3.26)が一つの参考となります。

2015年12月9日

交通事故「後部座席のシートベルト」

交通事故を起こした際に、被害者がシートベルトを装着していなかったことを理由に過失相殺が認められることがあります。
もちろん、どのようなケースでも過失相殺が認められるわけではなく、被害者がシートベルトをしていたならば損害(怪我の具合)が軽度に収まった可能性が高いケースにおいて、過失相殺が認められることがあります。

過去の裁判例においても、同一事故においてシートベルトを着用していた被害者とシートベルトを着用していなかった被害者とで怪我の程度が異なった事例などにおいては、シートベルトを装着しなかったことが損害の拡大に影響したとの判断から、シートベルトをしていなかった被害者について、過失相殺を認めているものが見られます。

一方で、運転席や助手席ではなく、後部座席においてシートベルトを着用していなかったケースでは、過失相殺を認めなかった裁判例もあります(東京地裁平成25年7月16日判決)。
しかし、その判決理由をよく見ると、被害者がタクシーの乗客であったことに加えて、事故当時(平成20年5月30日)には未だ後部座席におけるシートベルトの着用が義務化されていなかったことなどが挙げられています。

この点、平成20年6月の道路交通法改正により、後部座席においてもシートベルトの着用が義務付けられましたので、それ以降に発生した交通事故においては、後部座席でシートベルトを着用していなかったことを理由に損害が拡大したような場合には、過失相殺が認められる可能性が高いといえるでしょう。

実際に、道路交通法の改正後に発生した交通事故において、助手席でシートベルトを着用していた被害者に怪我がなかった一方で、後部座席でシートベルトを着用していなかった被害者が怪我をした事案などについて、後部座席の被害者により大きな過失相殺を認めた裁判例も出てきています(東京地裁平成25年2月26日判決等)。

過失相殺が認められてしまう可能性があるからというだけではなく、怪我の発生・拡大を防ぐためにも、どの座席においてもしっかりとシートベルトを着用することを心掛けましょう。

2014年5月19日

交通事故「自転車の交通事故」

新しい判例 神戸地裁平成25年7月4日判決

神戸地裁が、11歳男子が乗った自転車と歩行者との衝突事故をめぐる損害賠償請求訴訟で、11歳男子の母親に、損害額約9500万円の支払を命じました。
自転車での加害事故により、加害者に高額の賠償が命じられた判例は少なくありません。
自動車と異なり、自転車の保険は加入義務がないことから、加害者の多くは保険に未加入で、自転車での加害事故により高額の賠償が命じられた場合、自己破産に至る事例が報告されており、自転車の保険制度拡充を目指した動きも出始めているようです。
自転車も道路交通法では「軽車両」として自動車と同じ扱いです。道路での走行方法も定められており、違反すれば罰則もあります。自転車も危険な乗り物であることを十分に認識して、自動車を運転しているのと同じような緊張感を持って慎重に走行しましょう。

2013年12月12日

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