横浜綜合法律事務所

債権回収・強制執行「民事執行法改正へ『債務者口座、裁判所が特定へ』」

法務省が、裁判所の判決や調停で支払義務が確定したのに支払わない債務者の預金口座情報を、裁判所が金融機関に照会できる制度の検討を始めています。裁判所が金融機関に口座情報を照会して回答させる仕組みで、売掛金債務や賠償金、養育費等を任意に弁済しない場合に、強制執行を容易にすることが期待されています。

強制執行手続とは、勝訴判決を得たり、相手方との間で裁判上の和解が成立したにもかかわらず、相手方がお金を支払ってくれなかったりする場合に、判決などの債務名義を得た人(債権者)の申立てに基づいて、相手方(債務者)に対する請求権を、裁判所が強制的に実現する手続です。

裁判所の判決や調停で支払義務が確定したのに債務者が支払に応じない場合、民事執行法は、裁判所が強制執行で債務者の財産を差し押さえられると定めていますが、現行制度上、債権者側が自力で債務者の財産の所在を特定しなければならず、預貯金の場合は金融機関の支店名まで特定する必要があるため(口座番号までは必要ありません)、強制執行しようにも口座が特定できず、判決が絵に描いた餅になってしまう例が非常に多いことが指摘されていました。
新制度については、金融機関側に過度な負担とならない制度設計や債務者のプライバシーへの配慮等、検討事項も多いとされていますが、裁判で勝訴しても実際に執行ができず泣き寝入りを余儀なくされてきた債権者にとっては有力な打開策となることが期待されます。

12月 15, 2016

債権回収・強制執行「保全命令の効力の及ぶ範囲について」

注目判例 最高裁判所 平成24年2月23日

仮差押命令に表示された被保全債権と異なる債権についても、被保全債権と請求の基礎を同一にするものであれば、当該仮差押命令は、その債権の回収を保全する効力を有すると判断された事例。

本件は、不法行為に基づく損害賠償請求権を被保全債権として、債務者の第三債務者に対する債権につき仮差押命令が出されたものの、本案訴訟において、債権者が主位的に主張した前記損害賠償請求権は認められず、予備的に主張した貸金債権が認められたことから、当該仮差押命令が、貸金債権の実現を保全する効力を有するか否かについて争われたケースです。

これについて、裁判所は、「保全命令は、一定の権利関係を保全するため、緊急かつ必要の限度において発令されるものであって、これにより保全される一定の権利関係を疎明する資料についても制約があることなどを考慮すると、仮差押命令は、当該命令に表示された被保全債権と異なる債権についても、これが上記被保全債権と請求の基礎を同一にするものであれば、その実現を保全する効力を有するものと解するのが相当である。」という考えのもと、本件においては、貸金債権の発生原因事実が、被保全債権となった損害賠償請求権の発生原因事実に包含されていると認定した上で、不法行為に基づく損害賠償請求権を被保全債権とした仮差押命令が、請求の基礎を同一とする貸金債権の実現を保全する効力も有するものと判断しました。
このように、裁判所においても、保全命令の緊急性を重視する傾向があることから、債務者からの債権回収に不安を感じた場合には、速やかに保全の申立てを行うことに意義があるといえます。民事保全のタイミングなどでお悩みの方は、横浜綜合法律事務所の弁護士にご相談下さい。

12月 12, 2013

債権回収・強制執行「差押えの対象の特定について」

最新判例 最高裁判所 平成25年1月17日

大規模な金融機関の支店を特定することなく、預金債権額の合計の最も大きな店舗の預金債権を対象とする、いわゆる「預金額最大店舗指定方式」による預金債権の差押えの申立てを不適法として却下した事例。

本件は、勝訴判決を得た債権者が、債務者の預金債権の差押え及び転付命令の申立てをするに当たって、差押え及び転付命令の対象となる債権の表示において、金融機関の支店を特定することなく、「複数の店舗に預金債権があるときは、預金債権額合計の最も大きな店舗の預金債権を対象とする。なお、預金債権額合計の最も大きな店舗が複数あるときは、そのうち支店番号の最も若い店舗の預金債権を対象とする。」としたケースです。
これについて、裁判所は、債務者の第三債務者に対する債権を差押えするに当たっては、「債権差押命令の送達を受けた第三債務者において、直ちにとはいえないまでも、差押えの効力が右送達の時点で生ずることにそぐわない事態とならない程度に速やかに、かつ、確実に、差し押さえられた債権を識別することができるものであることを要する。」、という考えのもと、上記のような表示方法では、速やかかつ確実に差し押さえられた債権を識別することはできない、と判断しています。
このように、強制執行による回収を実現させるためには、債務者の預金がどの銀行のどの支店にあるか等、財産状況をできる限り正確に把握することが重要となります。債務者の財産調査などでお悩みの方は、横浜綜合法律事務所の弁護士にご相談ください。

12月 12, 2013

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