横浜綜合法律事務所

革靴と修行

前回の靴磨きのお話に続いて、今回も革靴ネタを。

革靴を買うとき、サイズでとても悩みます。革靴にはいくつかの製法があるのですが、グッドイヤー・ウェルト製法で作られた革靴は、インソール(中底)とアウトソール(本底)の間にコルクが敷き詰められており、この詰められたコルクは、履き込むにつれて持ち主の足の形に合わせて沈み込んでいきます。また、アッパーの革(足の甲側の革)は、履いていくうちに若干伸びていきます。

あるフランスのメーカーはきつめのサイズを薦めることで有名で、このメーカーには昔から変わらないデザインで愛されているローファーがあります。このメーカーのローファーは比較的良く沈み込むこともあり、履き込んで自分の足の形と一体となると、それはそれは極上の履き心地となるようです。自分の足の形と一体となった状態をもって、「革の靴下」と呼ばれることもあるほどです。

最初はきつくても、それに耐えて履き続ければ極上の履き心地が待っている、、、私も極上の履き心地に憧れて、きつめのサイズを選ぶようにしています。でもこれがまた辛い。おろしたての靴は3時間と履き続けることはできません。激痛が走り、30分でギブアップした靴もありました。夕方になると足がむくんで一層きつくなり、足を引きずりながら帰ることも珍しくありません。「極上の履き心地」というワードに目が眩んできついサイズを攻めすぎたのか、お店では履けたのに自宅に持ち帰って履こうとしたら足が入らず、サイズを交換してもらったこともありました。このコラムも足のしびれと格闘しながら書いています。

文字におこすと何をやっているんだという気がしてきますが、極上の履き心地を夢見てめげずにタイトな革靴を履き続ける、そんな修行の日々を送っています。

10月 9, 2020

新たな楽しみ

最近、日本料理を仕事としていた友人から、料理を習い始めた。これまで、料理は適当になんとなく作っており、本やスマホで探したレシピを参考にする程度で、きちんと習ったことはなかったが、友人が作った懐石料理(お茶会のときにいただいた)があまりに美味しくて、自分でもこんなお料理ができたら・・と思い、教えてもらうことに相成ったのである。

さて、お料理教室。まずはじめに教えてもらったのが、日本料理の基本、昆布と鰹節でひく出汁である。昆布は水から入れて沸騰する直前に出し、沸騰したら鰹節を入れる、くらいのことは知っていたが、時間のかけ方やかきまぜたりせず静かにして漉すことなどいくつかのポイントを教えてもらい、美しい透き通ったお出汁ができた。最近は、出汁専門店が出しているパックのお出汁もなかなかに美味しく、簡単なので重宝していたが、やはり昆布の鰹節でひく出汁には到底かなわない。きれいなお出汁がとれたら、これを使って汁物や煮物をつくる。教えてもらった鯛と蕪のお椀は、ふわーっとたちのぼる出汁の香りがたまらない・・。酢の物もひいた出汁を使うと優しい味に仕上がり大満足である。いんげんの胡麻和えも、すりたてのごまを出汁でのばしてつくると、本当に美味しい。昆布と鰹節だけでこんなに美味しいものができることを知った次第である。

つい先日は、イサキの木の芽焼を習った。塩をふって30分おいておくことや、皮目に細かい包丁目を入れると皮と身の間の脂が外に出て皮目がぱりっとすること、串をさしてイサキをうねらせて焼くと火がいきわたりやすいこと等々を教えてもらい、いざ焼いてみると、皮目がパリッと、実はふっくら。それに木の目を包丁でたたいて香りを出してふりかけると、思わず笑みがこぼれる美味しさ。また、刺身の切り方で美味しさが全然違うということで、刺身包丁を新調し、こんにゃくで練習していざ挑戦。これが友人の先生のとはだいぶ違う結果に。刺身包丁の使い方はまだまだ修練が必要である。

新たな楽しみを見つけ、懐石料理とまではいかぬとも、憧れの「料理のできる女性」目指してレパートリーを増やしたいと思う今日この頃である。

9月 25, 2020

被告と被告人

先日、法律相談をしている際に、突然、「私は逮捕されるのでしょうか?」という事を聞かれたことがありました。相談の内容は、民事の裁判のことでしたので、当然、逮捕されるようなことはありませんので、なんで、そんな心配をしたのか、不思議に思い、よくよく聞いてみると、裁判所から届いた訴状の中で、「被告」という言葉があったので、刑事裁判の「被告人」になってしまったのかと、不安だったとのことでした。
「被告」と「被告人」の違いについて、意外と間違っている方もいるのではないかと思い、今回、取り上げさせて頂くことにしました。
まず、「被告」ですが、これは、私人間の権利義務の有無を巡っての争いを扱う民事裁判(売買代金を払って欲しいとか、貸したお金を返して欲しいという類の争いです。)で訴えられた人を指します。
他方、「被告人」は、犯罪をした疑いのある人について、本当に犯罪を行なったのかどうかを判断する刑事裁判で起訴された人を指します。
このように、「被告」と「被告人」は、本来、全く別物になのですが、どういうわけか、テレビニュースや新聞等では、刑事事件の「被告人」に対して、「〇〇被告」という表現が使われることが非常に多いようです。
今回、このテーマを取り上げるにあたって、何故、このような使われ方がされているのか、その理由を調べてみたところ、「被告人」という単語の響きが非国民という音を連想させるから、「被告」という表現を使うことにしている等、幾つかの説があったのですが、どれも説得的とは思えず、結局、その理由は良く分かりませんでした。
少し脱線してしまいましたが、「被告」と「被告人」の違いは分かりましたでしょうか。

9月 11, 2020

仰げば尊し

先日高校のクラス会が開催された。クラスメイトは、それなりに年齢を重ねていたが、話し始めると時間が瞬時に高校生当時に遡ってしまうのが不思議である。このクラス会で私が最も嬉しかったのは、担任のY先生と久しぶりにお会い出来たことである。

高校生の私は決して優等生ではなかった。ラグビーをするために通学していた様なもので、遅刻の常習犯。授業はサボるし、興味ある科目しか勉強しなかったので、成績は乱高下。斜に構えているところがあり、とても扱いにくい生徒であったと思う。そんな私をY先生は気にかけてくれてはいたが、特段注意することなく、「お前は大器晩成だから」といって自由にさせてくれていた。今となれば、それは忍耐のいることだと容易に理解できる。二十歳になり高校生活の不徳を反省し、十年間は将来の自分のために投資をしようと決心して勉強を始め、その後司法試験を受けることになったが、当時の司法試験は合格率数パーセントの超難関。この受験勉強は本当に辛かったが、心が折れそうになったとき、ふとY先生の「お前は大器晩成だから」という言葉を思い出した。高校時代、私を信頼し自由奔放な学生生活を許してくれた先生の信頼に応えたい、そんな気持ちが受験生活を支える一助となっていた。

二十歳のとき同窓会でお会いして以来、Y先生とは35年振りである。先生に、現在弁護士であること、数年前に横浜国大のロースクールで教鞭を取っていたこと、司法研修所の民事弁護教官として後進の指導をしていたこと、今は法務省から委嘱され公務に携わっていることなどを報告し、型に嵌めようとせずに見守ってくれていた先生の度量に感謝の気持ちを直接伝えることが出来た。

高校生の当時はなんて恥ずかしい歌であると思っていたが、今は素直に唱えることが出来る。「仰げば尊し、わが師の恩」である。

8月 31, 2020

夜な夜な励んでいること

高校生の頃、通学時にローファーを履いていました。革の表面が剥げたり靴底が剥がれたりしても気にしていませんでしたし、ぼろぼろになった方が格好良いとも思っていました。手入れといえば、たまに靴墨を塗って古くなったTシャツでこする程度。
最近は革靴の手入れの仕方を学び、夜な夜な靴磨きに励んでいます。馬毛ブラシで埃を落とす、クリーナーで汚れを落とす、クリームを塗って栄養を与える、豚毛ブラシで余分なクリームを落としながら革の奥底までクリームを浸透させる、綺麗な布で乾拭きをした後、セーム革でさらに乾拭きをするという手の込んだものです。本当はこの後につま先と踵にワックスを塗って鏡面のように光らせたいところですが、ワックスを塗れば塗るほど曇っていくのでまだまだ精進が必要です。
難しいのは、クリームをただ塗れば良いというわけではないところ。埃や古くなったクリームを落として革をいったんスッピンの状態にした上で、少量のクリームを馴染ませていく。ブラシ、乾いた布、セーム革で丁寧に磨いていくと、徐々に光り出します。三足を同時並行で磨いていき、かかる時間は約1時間。暑い日には靴を磨きながら汗が滴り落ちてきますが、徐々に光り出す靴を眺めるのはなんともまあよいものです。靴に愛着も湧きます。目の前で変化していく様子に集中しながら磨いていると頭もすっきりするので、気分転換にもなります。
とはいえ、新聞紙を広げて革靴を並べ、その周りにクリーナーやクリームにワックス、クリームの色ごとのブラシを置いていくと、リビングを占拠することになってしまうので、肩身が狭いところです。そんなときは妻のパンプスも磨いてあげることで、我が家では靴磨きが市民権を得ています。

8月 14, 2020

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