横浜綜合法律事務所

遺言・相続「民法(相続関係)等の改正に関する中間試案」

平成28年6月21日、法制審議会民法(相続関係)部会において、「民法(相続関係)等の改正に関する中間試案」が取りまとめられ、同年7月12日から同年9月30日までの間、パブリック・コメントの手続が実施されました。
同中間試案の内容は、第1「配偶者の居住権を保護するための方策」、第2「遺産分割に関する見直し」、第3「遺言制度に関する見直し」、第4「遺留分制度に関する見直し」、第5「相続人以外の者の貢献を考慮するための方策」に、大きくまとめられています。

第1「配偶者の居住権を保護するための方策」は、配偶者の法定相続分が2分の1(遺留分は4分の1)であるために、めぼしい遺産が被相続人の自宅(不動産)しかないような場合、同不動産に同居してきた配偶者が、それ以降も引き続き使用することができるような方策が必要ではなかろうか、という問題意識に基づく議論です。

第2「遺産分割に関する見直し」は、配偶者の相続分が、その貢献と比較して少ないのではないかという問題意識に基づく議論です。すなわち、離婚した場合は、婚姻期間中の夫婦の財産の増加につき、夫婦それぞれが2分の1ずつ貢献したと認められる場合が多いのですから、遺産についても、婚姻期間中に増加したものの2分の1は配偶者の潜在的持分とみれば、配偶者の実質的な相続分は極めて小さいものになることがあるとの帰結を修正しようとするものです。

さらに、預貯金などの可分債権の遺産分割における取扱いも見直されようとしています。現行では、相続人全員が同意しない限り、預貯金は遺産分割の対象とはなりません。

第3「遺言制度に関する見直し」は、自筆証書遺言につき、すべてを自署するのは大変なので、その一部につき、パソコン等で作成することを認めようとするものです。また、遺言の保管機関を創設すべきではないかとの議論もございます。

第4「遺留分制度に関する見直し」は、遺留分権利者が権利行使した場合、遺贈または贈与の目的物につき当然に共有状態が生じる不都合を、その行使によって原則として金銭債権が発生することとして、回避しようとするものです。

第5「相続人以外の者の貢献を考慮するための方策」は、例えば、被相続人の子の配偶者が、被相続人を献身的に療養看護した場合でも、遺言等が無い限り、同人が遺産を受け取ることはできませんので、何らかの手当てが必要ではないかとの議論です。

実際の改正はまだ先のこととしましても、社会にかなり大きな影響を与える内容となりそうですから、今後の動向が注目されます。

2016年10月21日

遺言・相続「相続税・贈与税の改正」

平成25年度の税制改正により、相続税・贈与税が改正されました。平成27年1月1日以後の相続や贈与から適用されます。
まず、相続税の基礎控除額が引き下げられます。基礎控除額は、現在は、5000万円+1000万円×法定相続人の数ですが、改正後は、3000万円+600万円×法定相続人の数となります。遺産が基礎控除額を超える場合には、相続税の申告が必要となります。例えば、夫が死亡し、妻と子2人が相続する場合、現在は、遺産が8000万円までは相続税の申告は不要ですが、改正後は、遺産が4800万円から相続税の申告が必要となります。この改正により、相続税の課税対象者が4%から6%に増えるとされています。
また、相続税の税率構造が変わります。課税遺産の法定相続分が6億円超の場合の最高税率が50%から55%に引き上げられ、また、2億円超3億円以下の場合の税率が40%から45%に引き上げられます。高額の遺産取得者を中心に相続税の負担を求めることで冨の再分配を図る趣旨とされています。
上記の相続税増税に対する緩和措置として、未成年者控除や障害者控除の控除額は引き上げられ、小規模宅地等の特例の適用範囲は拡大されます。
他方、贈与税も、相続税の改正に対応し、基礎控除(110万円)後の課税価格が3000万円超の場合の最高税率が50%から55%に引き上げられるなど税率構造が変わります。
また、高齢者の保有資産を現役世代に早期移転させる趣旨から、20歳以上の子や孫に対する贈与(特例贈与財産)につき贈与税を軽減する特例が新設され、子や孫に対する教育資金の一括贈与は1500万円までを非課税とする措置が新設されます。
その他にも相続時精算課税制度や事業承継税制の適用要件の緩和等の改正もあり、多くの人に大きな影響がある改正ですので、これを機に税制への理解を深め、各制度を上手に活用されることをお勧めいたします。
横浜綜合法律事務所では、相続税や贈与税が問題となる遺言・相続・遺産分割・生前贈与など幅広い分野の業務を取り扱っておりますので、お困りの際は、お気軽に当事務所の弁護士までご相談ください。

2014年6月4日

遺言・相続「相続法制検討ワーキングチーム」

法務省が設置した相続法制検討ワーキングチーム(座長には、東京大学の大村敦志教授が就任しています)の第1回会議が、平成26年1月28日に行われました。この第1回会議では、同ワーキングチームにおいて以後検討すべき課題等について自由討議が行われたとのことです。会議前には、検討課題として、一応、①生存配偶者の居住権を法律上保護するための措置、②配偶者の貢献に応じた遺産の分割を実現するための措置、③遺留分その他の遺産分割制度の見直し、の3点が挙げられていました。

③について敷衍しますと、遺留分(「遺留分」とは、兄弟姉妹及びその子以外の法定相続人について認められている、被相続人の意思によっても奪うことのできない相続分のことをいいます。)について、被相続人は、生前であれば、その財産のすべてを自由に処分できると一応は言えますので、このことと遺留分との整合性が問題とされる一方で、その被相続人に配偶者がいた場合、配偶者は、被相続人名義の財産に潜在的持分を有しているとも言えますから、離婚による婚姻終了時の夫婦形成財産の清算(いわゆる「財産分与」です。)と遺留分との整合性も問題となるでしょう。
今後の同ワーキングチームにおける議論が注目されます。

2014年3月31日

遺言・相続「相続税の変更」

相続または遺贈(死因贈与を含みます)によって財産を取得したとき、その財産を取得した人は相続税を支払う必要がありますが、平成27年1月1日から相続税が変更となります。
相続税は、取得した財産および相続時精算課税の適用を受けて贈与により取得した財産の価額の合計額(債務や葬式費用などの金額を控除し、相続開始前3年以内の贈与財産の価額を加算します。)が基礎控除額を超える場合に、その超える部分(課税遺産総額)に対して課税されるところ、現在の基礎控除額は5000万円+1000万円×法定相続人の数とされていますが、平成27年1月1日以後の相続については、基礎控除額が3000万円+600万円×法定相続人の数へと変更されます。
この変更により、納税者の数と、納税額が増加することが見込まれますので、注意が必要です。

2013年12月9日

遺言・相続「婚外子の相続分」

婚姻関係にない男女の間に生まれた子どもの相続分について、民法の規定においては、婚外子の相続分は結婚した夫婦の子の2分の1とされていますが、最高裁平成25年9月4日付決定において、この規定は違憲であるという判断がなされました。
今後、婚外子に関する民法の規定が見直されることになると考えられます。
なお、この違憲判断には、平成13年7月当時から本決定までの間に開始された他の相続につき、すでに決着済みの同種事案には影響を及ぼさないという留保が付されています。

2013年12月9日

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