横浜綜合法律事務所 コラム

荻野 貴史「しまなみ海道に行ってきました」

しまなみ海道とは、広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ海道で、瀬戸内海に浮かぶ島々をつなぐ7本の橋で構成されており、それぞれの橋が高い場所に位置しているため橋を渡る際に見える景色は壮大であることから、近年はサイクリングロードとして世界的な名所となっています。
全長は、約70kmありますが、道路上に自転車専用レーンが設けられ目印が付いているので、道に迷うことなく渡りきることができます。
以前より、しまなみ海道を渡りたいという思いが私の中にありましたが、なかなか機会に恵まれず行くことができませんでした。しかし、今年の8月に休みが取れたので、よい機会だと思いしまなみ海道に行くことにしました。

先ほど述べた通りしまなみ海道はサイクリングロードとして有名ですが、早起きをしてランニングをすることが私の最近の専らの趣味だったこともあり、せっかくなのでしまなみ海道を走って渡ることにしました。
ただ、さすがに約70kmの距離を一日で走り切ったことはありません。そのため、本番に向け約3か月にわたって毎朝10km程度走るトレーニングを積み本番は、10kmごとに休憩を入れつつ、8時間程度で走破する計画を立てました。
広島県尾道市に前泊し、当日は朝7時に尾道を出発しました。疲れるだろうけどまあ走り切れるだろうという軽い気持ちで走り始め、素晴らしい景色を見ながら快調に足を進めました。しかし、当日が猛暑日であったことや高低差が想像以上にあったことが影響し、50kmを過ぎたあたりから足が動かなくなりました。
このあたりから、「なぜ、このような挑戦をしているのか」とか、「私がスポーツの指導者としてこんな猛暑日にこんな練習を選手にさせたら安全配慮義務違反で法的責任を問われるだろうな」とか、「もうこんな長い距離は絶対に走らない」とか意識朦朧のなかで色々なことを考えていましたが、何とかしまなみ海道を走りきることができました。
70kmのしまなみ海道を走り終えて安堵したのも束の間、当日の宿泊場所が今治市の駅前のホテルであったため、ホテルまで更に5kmあることに気付きました。疲れて体が言うことを聞かないにも関わらず、なぜか70km走ったのだから最後の5kmも走りたいとの思いが頭をよぎり、結局残りの5kmも走ることにしたため、最終的に1日で75km走りました。

ホテルに到着したのは午後8時を回っており実際に走っていた時間は、8時間30分程度でした。当初の計画では午後4時くらいには走破する予定でしたので、予定時刻を大幅に上回ることとなりました。
75kmを走ることは想像以上に辛かったので、「もう一度やりますか」と聞かれたら「もうやりません」。といいたいところですが、機会があるならもう一度挑戦してもいいかなというのが現在の心境です。
現在、毎月200kmから300km程度走っており、来年の東京マラソンに向けトレーニングしています。
なお、日本体育協会が発表している運動に関する指針においては、気温35度以上の時には、特別の場合以外は運動を中止すべきとされておりますので、このコラムを読んでいただいている皆様は決して猛暑日にランニングをしないようご注意ください。

11月 22, 2018

鈴木 心「『遠隔診療』の整備状況について」

「遠隔診療」とは、情報通信機器を活用した健康増進、医療に関する行為をいい、「オンライン診療」とは、遠隔診療のうち、医師と患者との間において、情報通信機器を通じて、患者の診察及び診断を行い診断結果を伝達するなどの診療行為をリアルタイムで行う行為をいいます。厚生労働省等が制度の整備を進めている遠隔診療に関して、現在の整備状況に関して少しご説明させて頂きます。

従来、遠隔診療の対象となる疾患や地域が限定されていたため、遠隔診療が普及しにくい状況にあったのですが、平成27年に厚生労働省が上記の限定を緩和する解釈を示したことや、安倍内閣総理大臣が未来投資会議で遠隔診療の推進に関して言及したこと等により、パソコンやスマートフォンなどの情報通信機器を用いたオンライン診療が急速に普及しました。現在では、通信アプリ「LINE」などでも診療できる診療機関もあり、いつでもどこでも医師による診察を受けることのできる時代が来たのだと実感します。

ただ、遠隔診療・オンライン診療は、直接の対面診療を補完するものであり、安全性、有効性といった「医療の質」を確保する必要があります。そこで、厚生労働省は、平成30年3月にオンライン診療の基本理念や倫理指針を規定した「オンライン診療の適切な実施に関する指針」というガイドラインを公表し、オンライン診療料といった報酬規程も新たに設けました。

上記ガイドラインを見る限り、まだまだ解釈の余地を残しており、今後の事例・意見の集積、安全性に関わる問題点の顕在化、技術革新に伴って、随時、患者のニーズと安全性確保の調和を図った遠隔診療の整備が進んでいくことになるでしょう。

果たして、数年後はどんな発展を遂げるのか、期待して見ていこうと思っております。

6月 26, 2018

楠瀬 健太「ペットの治療費」

昨年末のこと、家で飼っている犬(ウェルシュ・コーギー/13歳♂)が体調を崩してしまいました。
いつもは散歩に行く素振りを見せれば家を走り回るのですが、一向に寝床から起き上がらず、餌も全く口にしなくなってしまいました。
家族だけでは騒ぐばかりで何も解決できず、近所の動物病院に連れて行くことになり、一日がかりで栄養補給のための点滴を打ってもらい安静にさせるという毎日を送りました。
結局、数週間経つとケロッと餌を食べ始め、いつものように走り回るようになったのですが、両親から治療にかかった金額を聞き驚愕しました。なんと数十万円です。
かけがえのない我が家の一員、お金の話をするのはどうかと思いますが、彼の購入価格の約5倍の金額でした。
前置きが長くなってしまいましたが、そんなこともあり、今回のコラムは、「ペットの治療費」が法律上どのように扱われているのかというテーマで書きたいと思います。
たとえば、ペットが自動車に轢かれてしまい、治療費がかかったと場合、その際に飼い主は、車の運転手に対して、治療費全額を請求できるのでしょうか。
まず、前提として、日本の法律上、動物は「物」として扱われます。
そして、物の損害賠償においては、その物の時価を超えて損害賠償をする必要はないというのが日本における原則です。
したがって、うちの犬のように治療費に数十万かかった場合、日本においてはよほど高価な犬でないかぎり、治療費全額の請求をすることはできないということになってしまうのです。
ペットを家族同然に感じている人からすれば、全く納得のいく結論ではないですが残念ながら日本の法律ではこのような結論になってしまいます。
では、ペットの先進国であるヨーロッパではどのような扱いがなされているのでしょうか。
動物福祉の先進国と言われているドイツでは、そもそも動物は「物ではない」と法律に明記されています。
また、動物の治療費についても特別な規定があり、動物の時価を超えて治療費が発生したとしても、高額であるため不必要ということにはならないとされているのです。
したがって、ドイツでペットが交通事故に遭った場合には、時価を超える治療費全額を請求できる可能性があることになります。
近年は、民間ではペット保険などペットを特別なものとする扱いが広がってはいるものの、上の例にも表れるようにペット先進国との間では未だ法律や考え方に差があるといわざるを得ない状況です。
ペットを愛する者として、日本でもペットに関する制度や法律が整備されることを願うばかりです。

3月 29, 2018

青木 貴則「旅先でのふとした疑問」

通りに立ち並ぶ数々の飲食店。
陽気な店員と賑やかな老若男女。
そこは、1年過ごしてきた日本大通りの飲み屋街ではなく、スペインサンセバスチャンの旧市街。

昨年結婚し、年末年始に新婚旅行に行った。手配から全て妻に任せきりだったが、行き先はバスク地方。
フランスとスペインの国境をまたいで存在する地方で、独自の文化を形成している場所である。妻によると、美食の街だとか。飲食へのこだわりの強い私達にうってつけの場所ではないか。

スペインのバル巡りは想像を遥かに超えて楽しかった。
長居は無用。立ち飲みで、一晩に何軒もはしごするのがこの街のスタイル。

バルのカウンターには、ピンチョスと呼ばれる小さく切ったパンに少量のおかずが乗った冷製の軽食が並び、客がビール片手に食事を楽しんでいる。
また、テーブル席もあり、カウンターでなくても、ピンチョスを席に持って行って食べることもできる。(慣れてきたら黒板に書いてある温かいメニューを注文することをオススメしたい。)

周りを見ていると、会計のタイミングは客によってまちまちである。
バルで仲良くなった現地の人に聞くと、担当の店員が決まっていて、店員は誰がどの位の量のピンチョスを食べたのか覚えているらしい。個々のグループに伝票がないにもかかわらず手際よく会計を済ませている。

アンチョビのピンチョスを食べながら、ふと、このまま会計をせずに店を出てしまったらどうなるのか、と思った。
一般的な日本の飲食店において、元々払う意思がないのに、料理を注文し、注文した料理が提供されれば、詐欺罪が成立しうる。いわゆる、無銭飲食。

これは、払う気がないのに、その気があるかのように装って注文し、料理の提供を受けたことが、詐欺罪の成立要件の一部である欺く行為(=注文)と財物の交付(=店員による料理の提供)を構成するからである。

ところが、スペインのバルの場合、料理は既に置いてある。
すなわち、店に対する欺く行為(=注文)も、財物の交付(=店員による料理の提供)もない。
じゃあ、無銭飲食をしても罰せられない…のか…?
あ、でも、意思に反して占有が移転しているから、窃盗かな…

などと考えていたら、妻がワイン片手に、「また法律のこと考えてるでしょ!」と。

…そうだった。新婚旅行に来ているんだった。
旅行中何度かこんなツッコミをされながらも、楽しい休暇を過ごすことができた。

2月 20, 2018

大熊 一毅「ゲームとスポーツ」

去る2017年7月、アメリカはラスベガスで開催された格闘ゲームの世界大会EVO17ストリートファイターⅤ部門で、日本人選手ときどが見事優勝を果たしました。
敗者復活からの優勝、という非常にドラマチックな展開も後押しし、ときど優勝のニュースはyahooニュースのトップを飾ることとなりました。

過去、あくまで娯楽のカテゴリに属していたテレビゲームですが、近年では、このような電子機器を用いた娯楽の競技性に着目し、e-sports(エレクトロニック・スポーツ)と称してスポーツのカテゴリで捉えられるようになってきました。

一流のe-sportsプレイヤーは、企業からのスポンサードを受け、各地で開催される大会に出場して賞金を稼ぐ、いわゆるプロ選手として活動をしています。
先述のときども、プロのe-sports選手なのです。

現状e-sports選手の主戦場は海外であり、日本での更なる盛り上がりを期待したいところです。
なお、e-sportsのコンペティションの開催にあたり、景品表示法、刑法等による法的な障害があることが日本でのe-sports振興を妨げる一因であると言われていますが、それはまた別の機会にお話ししたいと思います。
(私も微力ながら法律家として支援に尽力していきたいと考えています。)

高い競技性と娯楽性を兼ね備え、それでいて少年心をくすぐるe-sports。
是非、一度お試しあれ。

10月 4, 2017

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