横浜綜合法律事務所 コラム

テレワークについて

令和2年4月7日の緊急事態宣言の発出を契機として、多くの事業所でテレワークが実施されるようになりました。テレワークとは、「情報通信技術を利用して行う事業場外勤務」と定義されており、自宅だけでなく、カフェ等の任意の場所で行うものも含みます。テレワークは、政府が、既に2003年7月策定の「eJAPAN戦略II」で、2010年に日本の労働人口の2割をテレワーカーにする目標をかかげており、助成金等の支援制度もありました(新型コロナウイルス感染症対策のための特別な助成制度もできました。)。しかしながら、日本の商慣習、情報セキュリティの問題、労務管理の難しさ等の点でなかなか進みませんでした。今回、半ば必要に駆られてテレワークが実施されるようになったものの、テレワークは通勤時間が大幅に短縮されますから、地方在住であったり、育児・介護等で働く時間が限られていて就業の機会に恵まれなかった優秀な人材を獲得できたり、家族の事情等で離職することを防げるなどメリットがありますので、これをきっかけにより普及していくと思われます。

テレワークを行う上で、注意する必要があるのが労働関連法規との関係です。使用者は、労働契約を締結する際、従業員に対し、就業の場所を明示しなければなりません。就業の場所が事業所のみになっている場合には、事業所に加え「使用者の許可する場所」などの文言を追加する必要があります。また、労働時間の適正な把握も課題です。テレワークは、長時間労働を助長しやすいとも言われていますので、労働安全衛生に配慮する必要がありますし、就業時間外にメールや電話等をするなどして、思わぬ残業代請求を受ける可能性もあります。一方、従業員の方の側でも、事前申告のないまま時間外に労働をしたとしても、労働時間とは認められないこともあります。時間外労働を含めた労働体制について、就業規則等への明記や労使協定を検討することが有用です。

5月 14, 2021

コロナ禍でのスタジアム観戦

前回のブリーズで、毎年恒例の全国法曹サッカー大会が、今年は11月に石垣島で行われる予定であるとお伝えしましたが、コロナウイルスの影響で中止となってしまいました。中止は残念ですが、気持ちを切り替え、来年の大会に向けてじっくり身体も心も鍛えていこうと思います。
話はアマチュアサッカーからプロサッカーに変わりますが、コロナウイルスの影響で延期となっていたJリーグが6、7月から再開され、7月中旬からは収容制限5000人としながらも観客の動員が認められるようになりました(9月末からは収容制限が収容人数の50%となっているようです)。
私も、Jリーグ再開後に何度かスタジアムに足を運び、観戦をしているのですが、観戦状況は以前と全く異なっておりました。まず、座席に間隔が設けられており、同行者がいたとしても隣同士で座ることができません。観客は常にマスクを着用しており、声を発しての応援もすることができません。鳴り物も禁止とされ、タオルマフラーを振り回す行為も禁止とされております。
観戦状況を説明すると、やや寂しい感じもしますが、応援による音がないので、選手同士の声がスタジアム中にとても良く響き渡りますし、いつもは聞くことができない試合中の選手の声を直接目の前で聞くことができるのは貴重ですので、むしろ以前の観戦時よりも楽しいと感じています。スタジアムでの観戦は今がお勧めです。

4月 30, 2021

日本のハンコ文化

令和2年9月24日、河野行政改革担当相が、行政手続での印鑑廃止を全省庁に要請したとの報道がなされました。諸外国と比較すると、日本は印鑑による押印を重用しており、ハンコ文化と表現されることもあります。近時のコロナ禍を受けてテレワークを導入する企業が増えている中、押印のための出社がテレワークの妨げとなっているとの指摘もあり、政府がハンコ文化の見直しの動きをみせたことは世間の注目を集めています。

日本の法律では、文書の作成にあたって、印鑑による押印が必須とされているわけではありません。しかし、日本では社会人になるタイミングで印鑑を作ることも多く、「自分の印鑑」を大切にする習慣があることを受け、法律の世界では「二段の推定」という考え方があります。文書に押された印影が本人の印鑑によるものである場合、本人が文書に押印したと推定され(一段目の推定)、さらに、その文書は本人の意思で作成されたと推定される(二段目の推定)という考え方です。例えば、Aさんの印鑑で押印された発注書が存在する場合、Aさんが発注書どおりに注文したと推定され、その結果、Aさんには発注書どおりの支払義務があると考えられるわけです。

日本には印鑑を重用する文化があり、自分の印鑑を安易に他人に貸すことはないという経験則があるために、このような考え方が取られるのです。私が過去に扱った案件で、ある会社の印鑑を出入りの業者が無断使用したかどうかが争点となった案件がありました。その会社の印鑑が押された発注書が存在したものの、その会社は「出入りの業者が無断で押印した。」と主張したため、印鑑の保管場所や保管状況、その他の文書で使用されている印鑑と一致しているかどうか等が問題となりました。また、シャチハタ不可という書類もあります。これは、シャチハタは大量生産されており同じ印面のものが存在するため、書類によってはシャチハタを使用できないとされることがあるのです。

現在も印鑑登録制度があるのは日本だけとも言われています。国際的に署名(サイン)が重視されている中、日本も「脱ハンコ」をすることになるのでしょうか。

4月 16, 2021

明治維新をどう考えるか

私は無類の歴史好きであり、幕末から明治維新にかけての時期については特に興味を持っている。この時期を書いた「竜馬がゆく」、「世に棲む日日」などの司馬遼太郎の作品をはじめとして、多くの小説は勤王派贔屓である。長州藩はただ一藩のみで幕府をはじめとする他の全ての諸藩を敵に回して倒幕に立ち上がり、ついに目的を達成したのであるから、歴史のヒーローとして賞賛されるのは当然と言える。

しかし、明治維新が倒幕派による正義の戦いであり、佐幕派は単に徳川幕府を温存しようとする守旧派(=不正義)であったという単純な見方には賛成しがたい。基本的には衰えてきた幕府と諸藩との権力闘争ではなかったのかと考えている。

当初幕府側に立ち、長州藩と闘ったものの、その後長州藩と同盟を結んで倒幕に転ずる薩摩藩などがその典型である。倒幕派が有利となるや、徳川御三家筆頭の尾張藩まで倒幕派に加わるなど、皆時流を冷静に観察しながら自藩の立場を決めていく。

倒幕派の内部では、武市半平太や坂本龍馬、西郷隆盛など活発な活動家は当初いずれも藩主から弾圧されるが、やがて倒幕派の勢いが盛んになるにつれ、重用されて藩の中で重要なポストを与えられ、あるいは藩からの支援を得る(武市半平太はその前に藩主山内容堂により殺されてしまうが)。

面白いのは幕府が倒れ、明治維新が成った後に版籍奉還が行われ、各藩の藩主の領地が政府に没収されてしまったことである。事ここに到って、倒幕運動を進めてきたそれぞれの立場が明らかに違ってきてしまったのである。島津久光は西郷に騙されたと述べたと言われる。薩摩藩の地位の向上や下級武士の重用を目的としていた西郷隆盛と中央集権化や富国強兵などあくまでも国家を重視する考えに到った大久保利通の間でも考えが相違し、後に西南戦争へと進む。

このように明治維新とは開国を迫る外国からの圧力を契機として、様々な立場、階級の者が現状打破、地位向上をめざして闘いを繰り広げた一大権力闘争だったと考えている。そのため、明治政府が、勝者である薩長を中心とした藩閥政府となったのも当然と言える。

明治維新を成し遂げたことによって外国の支配を受けずにすんだ日本が今度は朝鮮、清などを支配しようと侵略戦争を開始し、やがては太平洋戦争まで引き起こすに到るが、これが何故なのか、私のかねてからの最大の関心事である。この点はまた改めて。

11月 6, 2020

親なき後の財産管理

以前から、障がい者施設を運営する社会福祉法人の仕事をしていますが、施設利用者の中には「親なき後の財産管理」に不安を抱く方が少なくありません。
これは、例えば、知的障がいのあるB君の財産を管理している父親のAさんが亡くなった後、B君の財産は誰がどのように管理するのか、という問題ですが、法的には次のような方法があります。

①遺言
Aさんは、生きている間に、遺言により財産の処理方法を定めることができます。例えば、B君の財産管理者を指定したり、B君が取得する遺産を増やしたり、内容を特定する(居住用建物など)などです。

②成年後見人
成年後見人とは、判断能力が不十分で財産を管理できない人のための財産管理人であり、家族からの申し立てにより家庭裁判所が選任し、その監督を受けながら財産の管理を行います。
Aさんは、生きている間に、B君の成年後見人を選任してもらい、B君財産管理をしてもらうことができます。兄弟など親族のほか、弁護士や司法書士が選任される場合もあります。

③民事信託
民事信託とは、信頼できる人に財産の名義を移して、その人に財産の管理や運用・処分などを任せる制度で、契約や遺言ですることができます。
Aさんは、親せきのC氏と信託契約を結んで、B君の財産の名義をC氏に移し、B君の生活のため財産を管理し、毎月の生活費を渡すなどの運用をしてもらえます。

こうした「親なき後の財産管理」に限らず、近ごろ、司法の分野で「司法ソーシャルワーク」という言葉が使われています。これは、司法関係者が、行政や福祉機関などと連携を取りながら、障がい者や高齢者、その家族の抱える法律問題の解決をめざす、という取り組みですが、当事務所としても、今後、こうした動きに積極的に取り組んでいきたいと思います。

10月 23, 2020

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