横浜綜合法律事務所

夫婦・離婚・男女問題「『離婚の慰謝料』についての基礎知識」

離婚する際には、子の親権、養育費、財産分与、慰謝料、及び、年金分割などといった様々な事柄を慎重に検討しなければなりませんし、その検討のためには,離婚についての基本的な知識をしっかりと押さえておく必要があります。
今回のトピックでは、特に「離婚の慰謝料」に焦点を当て、日々の法律相談において特によくある質問をピックアップし、Q&Aという形で、ご説明をさせて頂きます。

Q1 離婚の慰謝料は、どのような場合に請求できるのですか。
A1 離婚の慰謝料の請求も、不法行為に基づく損害賠償請求の一つですので、その請求が認められるためには、不法行為(民法709条)の要件を満たしていることが必要となります。具体的に言いますと、①違法性のある加害行為(浮気や暴力など)の存在,②損害(精神的苦痛等)の存在、③加害行為と損害との因果関係(加害行為によって婚姻関係が破綻したこと等)の存在といった、不法行為の各要件を満たしていることが必要です。
離婚の慰謝料の請求が認められ得る代表的なケースとしては、相手の不貞(浮気)や暴力(DV)ですが、その他にも、悪意の遺棄、性交渉の拒否、浪費などといったケースにおいても、離婚の慰謝料の請求が認められる場合があります。
例えば、性交渉の拒否のケースを挙げると、妻が結婚後一度も夫の性交渉に応じなかったとして夫の妻に対する離婚の慰謝料請求を認めた裁判例などがあります。
また、例えば、浪費等のケースを挙げると、妻が殆ど掃除をせずしかも子どもの習い事に多額のお金を費消していたといったようなケースで、夫の妻に対する離婚の慰謝料請求を認めた裁判例などもあります。
どのようなケースであれば離婚の慰謝料を請求し得るかについては、一概には言えず、ケースバイケースですので、離婚の慰謝料を請求しようかどうかお悩みの方は、一度、弁護士に相談することをお勧め致します。
Q2 浮気(不貞)の場合における離婚の慰謝料について、詳しく教えて下さい。
A2 夫(妻)が浮気(不貞)をした場合、通常、妻(夫)は、夫(妻)に対して、離婚に伴い、離婚の慰謝料を請求することができます。ちなみに、裁判においては、一般的に、浮気の期間が長ければ長いほど、浮気の回数が多ければ多いほど、離婚の慰謝料の額は、高くなる傾向があります。
裁判において、相手の浮気を理由に離婚の慰謝料を請求する場合には、相手の浮気を特定(浮気の開始時期や、浮気の相手、浮気の期間・回数などを特定)することがとても重要となります。
その特定に多く用いられている確実な証拠としては、興信所の調査結果報告書が挙げられますが、興信所に浮気の調査を依頼すると、高額な費用を要することとなるのが一般的かと思いますので、注意が必要です。
浮気の事実やその期間・回数などを直接的に証明し得る証拠を確保できるケースというのは、通常、そう多くはありません。相手が浮気を否定している場合には、様々な間接的な証拠から、相手の浮気を特定して、これを証明していくことが必要となります。
浮気の際に使用したホテルや飲食店等の領収書やクレジット利用明細、浮気相手へのプレゼントの領収書やクレジット利用明細、浮気の際に使用した車のETCの利用明細、さらには、浮気相手とのメール・電話の履歴など、浮気と少しでも関連しそうなものは、とにかく、相手に破棄されないよう、すべて、しっかりと保存しておくことが重要です。
ちなみに、浮気の末、浮気相手との間に子どもができたことが判明したようなケースでは、戸籍謄本が浮気を証明する一つの重要な証拠となり得ます。
相手の浮気を理由に離婚の慰謝料を請求する場合には、通常、さらに、相手の浮気前には夫婦関係が円満だったこと(相手の浮気後に夫婦関係が破綻したこと)を立証していく必要があります。実際、裁判において、「浮気前から夫婦関係は既に破綻していたので離婚の慰謝料の請求は認められない」と相手から反論されるケースが多くあります。この点、相手の浮気前には夫婦関係が円満だったことを立証し得る重要な証拠としては、例えば、夫婦間のメールの履歴や家族写真などといったものが挙げられます。
Q3 離婚の慰謝料の額の相場を教えて下さい。
A3 離婚の慰謝料の額の算出にあたっては、一般的に、有責性、婚姻期間(同居期間・別居期間)、相手の資力(社会的地位)といった要素のほか、婚姻生活の実情、家族関係、子どもの有無・数などといった様々な要素が考慮されます。
それゆえ、離婚の慰謝料の額については、個別具体的な事案ごとに様々なのですが、あくまでも一つの目安として、判決で離婚の慰謝料が認められる場合、200万円前後~300万円前後と認定されることが一般的に多いようです。
ただ、個別具体的な事案によっては、これを大幅に上回る離婚の慰謝料を認定している裁判例がありますし、また、これを下回る離婚の慰謝料を認定している裁判例もあります。

2014年7月15日

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