労働問題「パワーハラスメントについて」
厚生労働省において、平成23年7月~平成24年1月にかけて、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ」(以下「WG」といいます。)が開催されました。WGによる「職場のパワーハラスメント」とは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいいます。
「職場のパワーハラスメント」は上司から部下へのいじめ・嫌がらせだけを指しているだけではなく、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して行われるものも含まれます。
上司が部下を指導する際、「職場のパワーハラスメント」と「業務上の指導」との線引きが難しいため、WGは労使が予防・解決に取り組むべき「職場のパワーハラスメント」は、「業務の適正な範囲を超える」精神的苦痛・肉体的苦痛を与える行為又は職場環境を悪化させる行為と整理しています。そうすると、「業務上の適正な範囲」を超えない場合であれば、パワーハラスメントには当たらないと解することになります。
具体的には、何が「業務の適正な範囲」を超えるかについて、各企業・職場で認識をそろえ、その範囲を明確にしていくことが望ましいのですが、WGによれば、「職場のパワーハラスメント」に当たりうる行為として、以下の行為類型を挙げています。
①暴行・傷害(身体的な攻撃)、
②脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)、
③隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)、
④業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)、
⑤業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)、
⑥私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)、です。
パワーハラスメントの予防対策に関しては、厚生労働省のホームページに掲載されていますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。
2015年6月25日