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横浜綜合法律事務所 アーカイブ

湯沢 誠「何故弁護士は凶悪犯人を弁護するのか」

残念ながら凶悪犯罪に関するニュースが絶えることはない。また死刑を宣告された死刑囚の死刑執行のニュースも時折報道される。そのような機会に犯罪者の弁護人である弁護士がマスコミに登場し、そのコメントが報道されることも多い。
「何で弁護士はあのような凶悪犯人を弁護するんですか。お金のためですか。」私もこのような質問を少なからず受けたことがある。凶悪犯人が自己弁護をするなどもってのほかであり、それを助ける弁護士は必要悪だと考えるのも無理からぬことと思われる。
しかし、一方で死刑の判決を受けた「犯罪者」が再審請求を行い、無罪となったとの報道も極たまにではあるが、見聞きするところである。
刑事訴訟法289条1項は「死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁固にあたる事件を審理する場合には、弁護人がなければ開廷することはできない」と定めており、被告人が起訴された後に私選弁護人を選任しない場合は、裁判所が国選弁護人を付することになっている。
平成16年には国選弁護人制度が拡充され、上記と同じ重大事件については、被疑者段階にも国の費用により弁護人が付されることになった。
選任された弁護人には、日弁連の定める弁護士職務基本規定46条の「弁護士は、被疑者及び被告人の防御権が保障されていることにかんがみ、その権利及び利益を擁護するため、最善の弁護活動に努める」との規定が適用されるため、被疑者・被告人の利益に反する行動や発言をすることは禁じられている。このため、たとえば、被疑者・被告人が捜査機関に対しては否認しているにもかかわらず、弁護人に犯罪を行ったことを認めた発言をした場合に、それを捜査機関やマスコミにリークした場合は日弁連より懲戒処分を受けることになるのである。
かくして、弁護士は裁判所より凶悪犯人の弁護人に選任された場合は凶悪犯人のために「誠実に」職務を遂行せねばならないのである。ストーカー殺人など極めて一方的で、被告人に酌むべき情状が全くないと思われるような事件の弁護を担当することとなった弁護人は極めて辛い立場に置かれることになるのである。弁護士のこの辺の事情をご理解いただきたいと考えて本稿をしたためた次第である。

7月 22, 2016

湯沢 誠「チャレンジシステムと裁判制度」

私は松井秀喜がニューヨークヤンキースに移籍して以来、MLBの大ファンである。野手は松井以外ではなかなかいい成績が残せていないが、投手はダルビッシュ、田中将大を始めとして、多くの選手が素晴しい成績を残しており、週末はテレビにかじりつきである。
MLBでは今年からチャレンジ制度と言って、審判の判定に不服がある場合、1試合で2回に限り異議を申し立てることができる制度を導入した。野球場からビデオ映像を機構に送り、そこで第三者である判定員が判断するという仕組みだ。
このシステムの導入にあたっては侃侃諤諤の賛否両論があった。賛成論は何より客観的・公平な判断が下されるというものであり、反対論は神聖・絶対な存在であるはずの審判の権威が損なわれるというものであった。
実際にこのシステムが導入されてみると、異議の申し立てに対して機構から速やかなジャッジがなされ、ゲームのスムーズな進行におおいに役立っていると言える結果になった。
例えば、これまでしばしば見られたジャッジに不服な監督からの猛抗議、時には暴力→退場宣告というシーンが全く姿を消した。チャレンジシステムの導入は成功したと言えよう。
弁護士である私から見ると、チャレンジシステムの成功の理由は、まさに裁判制度への信頼と同じものと思われるのである。即ち当事者間の考えに対立があり、双方の話し合いによっても解決できない場合に、当事者以外の第三者が証拠(ビデオ)を元に客観的にジャッジするという仕組みにおいて、両者は基本的に同じ構造であると思われるのである。

10月 2, 2014

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