横浜綜合法律事務所 コラム

青木 貴則「旅先でのふとした疑問」

通りに立ち並ぶ数々の飲食店。
陽気な店員と賑やかな老若男女。
そこは、1年過ごしてきた日本大通りの飲み屋街ではなく、スペインサンセバスチャンの旧市街。

昨年結婚し、年末年始に新婚旅行に行った。手配から全て妻に任せきりだったが、行き先はバスク地方。
フランスとスペインの国境をまたいで存在する地方で、独自の文化を形成している場所である。妻によると、美食の街だとか。飲食へのこだわりの強い私達にうってつけの場所ではないか。

スペインのバル巡りは想像を遥かに超えて楽しかった。
長居は無用。立ち飲みで、一晩に何軒もはしごするのがこの街のスタイル。

バルのカウンターには、ピンチョスと呼ばれる小さく切ったパンに少量のおかずが乗った冷製の軽食が並び、客がビール片手に食事を楽しんでいる。
また、テーブル席もあり、カウンターでなくても、ピンチョスを席に持って行って食べることもできる。(慣れてきたら黒板に書いてある温かいメニューを注文することをオススメしたい。)

周りを見ていると、会計のタイミングは客によってまちまちである。
バルで仲良くなった現地の人に聞くと、担当の店員が決まっていて、店員は誰がどの位の量のピンチョスを食べたのか覚えているらしい。個々のグループに伝票がないにもかかわらず手際よく会計を済ませている。

アンチョビのピンチョスを食べながら、ふと、このまま会計をせずに店を出てしまったらどうなるのか、と思った。
一般的な日本の飲食店において、元々払う意思がないのに、料理を注文し、注文した料理が提供されれば、詐欺罪が成立しうる。いわゆる、無銭飲食。

これは、払う気がないのに、その気があるかのように装って注文し、料理の提供を受けたことが、詐欺罪の成立要件の一部である欺く行為(=注文)と財物の交付(=店員による料理の提供)を構成するからである。

ところが、スペインのバルの場合、料理は既に置いてある。
すなわち、店に対する欺く行為(=注文)も、財物の交付(=店員による料理の提供)もない。
じゃあ、無銭飲食をしても罰せられない…のか…?
あ、でも、意思に反して占有が移転しているから、窃盗かな…

などと考えていたら、妻がワイン片手に、「また法律のこと考えてるでしょ!」と。

…そうだった。新婚旅行に来ているんだった。
旅行中何度かこんなツッコミをされながらも、楽しい休暇を過ごすことができた。

2月 20, 2018

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